炭治郎 目 小説。 【鬼滅の刃】あの、二目惚れしました【我妻善逸】【竈門炭治郎】

『鬼滅の刃【短編集】』第3章「一夜の夢、永遠の契り【煉獄×炭治郎】※炭目線(オメガバース)」 29ページ

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その日、柱の者達に鎹鴉から衝撃の情報が伝えられた。 それを討伐しただけでも凄いが、まさかの序列が弐。 つまり鬼舞辻無惨を除いて、鬼の中で2番目に強い鬼ということだ。 混乱を防ぐために、柱につか伝えられていない情報。 もちろんそれほどの鬼を討伐したというのは、とても喜ばしい。 だが……。 「誰が、討伐したのだ?」 見回りを終えて家に帰る途中、煉獄杏寿郎は一人で呟いた。 上弦の弐という強者を、誰が討伐したのか。 それが情報として回ってこない。 前にお館様が、 『上弦は下弦とは強さの格が違う。 おそらく、柱が2人か3人ほどいて、互角に戦えるぐらい』 と言っていた。 今までも柱が何人か、上弦に殺されていた。 下弦を簡単に殺す柱が、上弦を殺すことはここ100年出来なかったのだ。 だからこそ、上弦の強さは格が違うと知っていた。 「怪我人は出たのか?」 報告をしに来た鎹鴉に、杏寿郎はそう問いかけた。 「カァー! 花柱、負傷! 命ニ別状ナシ!」 「そうか! 死んでいないなら良かった!」 花柱、胡蝶カナエ。 女性ながら柱になっている実力者。 つまり、胡蝶カナエと柱の誰かもう1人、それか2人が協力して倒したということ。 「しかし、そうなると胡蝶カナエだけが負傷したのはわからんな……怪我人は他にいないのか?」 「カァー! イナイ!」 いくら柱が2人や3人いたとしても、胡蝶カナエだけが傷を負って他2人は無傷ということは不思議である。 「よもや……こう考えても答えは出ない! 明日の柱合会議で聞けばいいか!」 1人でそう納得して、明日の柱合会議に臨む杏寿郎だった。 雲一つない快晴で、柱の皆が集まっていた。 しかしその中に、1人いなくて、1人柱ではない者がいた。 「胡蝶カナエの妹、胡蝶しのぶ!」 「なんか言い方が変ですが、はい。 何か用でしょうか、煉獄さん」 杏寿郎の呼び方に眉を顰めるしのぶ。 姉のいつも笑顔な表情とは似つかないが、それでも顔立ちはとても似ている。 「胡蝶カナエは大丈夫か? 怪我をしたと聞いたが」 「はい、大丈夫です。 特に後遺症も残らず、数日後には復帰出来るはずです」 「よもや! それは良かった!」 上弦の弐と戦い、それぐらいの怪我で済んだのであれば結構なことである。 「胡蝶しのぶが、姉と一緒に上弦の弐と戦ったのか?」 「いいえ、違います」 「ふむ、では誰だ?」 集まっている柱の者を見るが、誰も怪我はしていないようだ。 不死川実弥は少し怪我の跡が増えているが、いつも通りである。 「俺は悲鳴嶼さんが上弦と対峙したと思っていたが、違うのだろうか!?」 柱の中でも一番の実力者である、岩柱・悲鳴嶼行冥。 体格が一際大きく、手に数珠を持って鳴らしながら、涙を流す。 「ああ……私ではない。 私も、昨夜聞いただけだ」 「そうか! では誰がやったのだ!?」 そう言って杏寿郎は柱の皆を見回すが、誰も自分ではないと言うように他の者を見る。 「ふむ……一体、誰が上弦の弐を討伐したのだ?」 その言葉を杏寿郎が言うと同時に、幼い声が産屋敷家の庭に響く。 「おはよう、みんな。 今日はよく来たね」 静かな、優しい声。 お館様の声を聞くだけで、柱の皆は心に暖かい何かが生まれるのを感じる。 「お館様におかれましても、御壮健で何よりです。 ますますの御多幸を、切にお祈り申し上げます」 「ありがとう、杏寿郎」 煉獄杏寿郎がそう言い、お館様が今日の一番大きな議題を切り出す。 「まず、みんなには昨日、上弦の弐を討伐したという情報が入ったはずだ。 聞いてるね?」 「もちろんです! 大変喜ばしいことですが、誰が討伐したかは聞いておりません! 花柱の胡蝶カナエが怪我をしたようですが、上弦の弐と戦闘したということでしょうか!?」 「その通りだよ。 話を聞く限り、カナエは上弦の弐と遭遇し、数分で致命傷を負い、死にそうになったと」 「よもや!!」 柱である者でさえ、一人対峙したらものの数分でやられてしまうのか。 上弦の強さを改めて知り、皆が舌を巻く。 「では、上弦の弐は誰が倒したのでしょうか!?」 「そうだね。 これから、みんなに紹介するつもりだよ」 「よもや! 1人で討伐したのでしょうか!?」 「うん。 とっても強い子なんだ」 まさか上弦の弐を1人で討伐出来るような強者が、柱以外にも鬼殺隊にもいたのか。 最近の隊士の質が良くない、と言われていたが、改めなければならないかもしれない。 「その者はどこに!?」 「今から呼ぶよ。 だけど、その前に……みんな、私と約束してほしい」 いつもの優しい、仏のような笑みを浮かべたお館様が、言葉を紡ぐ。 「その子は、とても優しい子で……とても強い子なんだ。 だからどうか、みんなに認めて欲しいと思っている」 「お館様、一体どういう……?」 お館様は最後に「よろしくね」と念押しをするかのように言って、 「炭治郎、入っておいで」 と、後ろの襖の方に声をかけた。 柱のほとんどが目を見開き、即座に臨戦体勢に即座に入った。 襖の奥にいたのは、鬼の少年であった。 いや、姿形は少年だが、実際は何十年、何百年生きているのかわからないのが、鬼である。 すぐさま攻撃を仕掛けようとしたのは、風柱である不死川実弥。 続いて蛇柱の伊黒小芭内。 常に全集中の呼吸を使っている2人だが、さらに呼吸を深め技を繰り出そうとするが……。 「落ち着いて」 お館様が立ち上がり、口元に指を当てる仕草をしたことにより身体が強制的に止まった。 それもそのはず、お館様がその鬼を後ろに庇うように立ち上がったからだ。 「お館様! そいつは鬼ですっ! 危険なので離れてください!」 柱が集まっていたにも関わらず、姿を表すまで鬼がいることに誰も気づかなかった。 なんたる不覚か。 不死川の言葉に、お館様は笑みを浮かべたまま首を横に振る。 「実弥、小芭内、落ち着いて。 この子が鬼ってことは、すでに知ってるよ」 「ならば何故っ!?」 「さっきも言ったけど……この子が、炭治郎が、上弦の弐を倒したんだ」 お館様のその言葉に、先程の鬼が襖の奥から現れた時よりも、柱全員に大きな衝撃が走る。 「なっ!? 鬼が、鬼を倒した……!?」 「しのぶ、そうだね」 「……はい、そうです」 お館様がしのぶに話を振ると、柱全員がしのぶの方を見る。 そして、しのぶがその時のことを、姉のカナエに聞いた話も交えながら説明した。 柱である姉さん、胡蝶カナエが手も足も出ずにやられたということ。 敵は氷を操る鬼だったようで、全集中の呼吸を使う鬼殺隊とは相性が最悪。 トドメを刺される寸前、鬼である炭治郎がやってきた。 ただの拳で上弦の弐を退かせ、カナエが使っていた日輪刀を拾い。 「上弦の弐に対して、圧倒的な強さで、何もさせずに倒しておりました」 なんとも、信じがたいことであった。 鬼が人を守る、ということですら信じられないのに。 上弦の弐を何もさせずに倒すなど、あり得るのだろうか? 「信用しない、信用しない。 鬼が人を守る? 胡蝶しのぶが鬼の血鬼術をかけられている、と言われた方がまだ信じられる」 「っ! 私はかけられていませんよ」 蛇柱の伊黒の言い分に、しのぶは少しイラつきながらも答える。 「自分だったら気づかないのは当然であろう。 それに例えその鬼が上弦の弐を倒したのであれば、それだけその鬼が人を喰らい、強くなったということだ。 それを拘束もせずにしている様に俺は頭痛がしてくるのだが」 確かに、伊黒の言う通りである。 上弦の弐を倒すほどの力を持っているということは、上弦の弐以上に人を殺し、喰らったということに他ならない。 例え人を守ったとしても、それは覆らない事実である……はずであった。 「炭治郎はね、人を喰っていないんだ」 またもお館様が、驚きの事実を告げた。 「よもや! お館様、それは本当ですか!?」 「そもそも炭治郎が鬼になったのは、数日前のこと。 なった初日、義勇が炭治郎と遭遇した。 その時にはすでに、人間としての理性があったみたいだね」 「……はい、そうです」 炭治郎が現れた時に唯一、柱の中で動じなかった義勇。 さすがに上弦の弐の討伐には、目を見開いたが。 「炭治郎は家族と暮らしているが、鬼になってからも誰も喰べていない。 それは義勇と、それにカナエも確認している。 今日までも鎹鴉でずっと監視していたが、人を喰う素振りすらなかった。 炭治郎は、人を喰わないんだよ」 お館様から説明を受けても、未だ信じられない。 鬼が人を喰わないなんて、柱だからこそ簡単には信じられないのだ。 数え切れないほど鬼を殺してきた柱は、鬼がどれだけ狡猾で、意地汚く、最低な生き物かを知っているから。 「信じられません、お館様……! 俺が、その鬼の化けの皮を剥いでやりますよォ!」 不死川が血走る目をそのままに、刀を抜いて自分の腕を斬りつける。 (えっ、えっ……何してるの? お庭が汚れるじゃない……!) その様を見て並んでいる柱の中で、そんなことを心の中で思っていた恋する柱がいたとかいないとか。 普通の人の数倍、数十倍は濃い血を持っており、稀血を食べるだけで何十人も人を喰ったことになる。 風柱・不死川実弥の身体に流れる血は、稀血の中でも特別。 鬼がその血の匂いを嗅ぐだけでも、酩酊するほど濃いものである。 どんな鬼でもその血を欲し、動きが単調になり本能的になる。 この稀血の特性を生かして、不死川は鬼を狩ってきた。 「不死川、お前が日向にいてはあの鬼は襲ってこない。 日陰に行かなくては」 「……お館様、失礼仕る」 伊黒の助言を聞き、不死川は一飛びで屋敷の中に入り……炭治郎の目の前に降り立つ。 「おら、喰いついてこい鬼ィ! お前の大好きな人間の血だァ!」 「……」 鬼の気配が薄かったが、やはり目の前にすると鬼の特徴を持っている、少年の鬼。 こんな鬼が、上弦の鬼を倒す? やはり信用ならない。 不死川は猟奇的な笑みを浮かべながら、刀をその頸に穿つように準備をしていた。 (少しでも襲う素振りを見せれば、殺してやる……!) そう思っていたの、だが……。 「……あァ?」 不死川は、疑問の声を上げた。 突如目の前で、自分が想像していたこととは違うことが起こったからだ。 瞳孔は鬼のように縦に開かれていたが、それでもその眼差しは人間のように、いや、人間以上の輝きを持っていた。 それに気づいたのは、柱の中では自分だけだろうか。 (よもや……柱ではないが、胡蝶しのぶはすでに気づいているようだな) 姉である胡蝶カナエを目の前で助けてもらったと言っていたので、当然のことであろう。 あれほど美しく輝きある瞳を、自分は他に知らない。 あとは……岩柱の悲鳴嶼行冥や、音柱の宇髄天元も気づいていてもおかしくはない。 冷静にあの者を見れば、普通の鬼とは全てがかけ離れているということを。 逆に、風柱の不死川や蛇柱の伊黒は、あの者に殺意を覚えすぎているから、わからないだろう。 2人があれほど殺意を持っているから、自分がこうして冷静でいられるというのもあるだろうが。 何を思って生きていれば、あれほど熱く輝く瞳を持てるのだろうか。 煉獄杏寿郎はそんなことを思いながら、ずっと少年の鬼……炭治郎の瞳を見つめていた。 次の話はこちらです。

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【鬼滅の刃】あの、二目惚れしました【我妻善逸】【竈門炭治郎】

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無惨と遭遇した炭治郎 鬼を倒した炭治郎は浅草を訪れた。 浅草は無数の人が行き交っていたが、その中で炭治郎は嗅いだことがある匂いを見つける。 それは、炭治郎の家族を殺害した無惨の匂いだった。 炭治郎は人混みの中から無惨を探し当てる。 無惨は人間の妻と子供と一緒に歩いていた。 炭治郎は無惨が人間に成りすましている事に驚愕する。 無惨は何も知らない顔をしながら、道ゆく人を鬼にして騒動を起こした。 炭治郎は周囲の人に襲いかかろうとする鬼を取り押さえるが、その間に無惨は遠くに行ってしまった。 炭治郎は「鬼舞辻無惨!俺はお前を逃さない!どこへ行こうと地獄の果てまで追いかけて必ずお前の頸に刃を振るう!絶対にお前を許さない!」と叫んだ。 無惨は炭治郎が身に付けている耳飾りを見て表情を変えていた。 無惨はかつて、炭治郎と同じ耳飾りを身に付けた剣士に追い詰められたことがあった。 無惨は配下の鬼に炭治郎の頸を持ってくるように命じた。 無惨に敵対する鬼・珠世と愈史郎 その後、憲兵隊たちがやって来て、炭治郎を鬼から引き離そうとしていた。 炭治郎は拘束具を持ってくるように言うが、憲兵隊は聞き入れようとしなかった。 炭治郎が「やめてくれ!この人に誰も殺させたくないんだ!邪魔をしないでくれお願いだから!」と叫んだ。 その時、異様な匂いが周囲に蔓延し、花の幻覚が見えた。 そして「あなたは鬼となった者にも「人」という言葉を使ってくださるのですね。 そして助けようとしている。 ならば私もあなたを手助けしましょう。 」と言って女性と男性が現れた。 二人は珠世と愈史郎といい、無惨に敵対する鬼だった。 炭治郎は禰豆子を連れて珠世たちが隠れている屋敷へと向かった。 珠世はかつて無惨に鬼にされた事で夫を殺害してしまっていた。 今は身体を弄って少量の血を飲むだけでいい身体にしていた。 そして愈史郎は品詞となっていた時に珠世に出会い、生き長らえる為に珠世に鬼にしてもらっていた。 炭治郎は珠世に禰豆子を人間に戻す方法があるか聞いた。 すると珠世はどんな病にも治療法はあると言った。 しかし、現時点では鬼を人に戻すことができなかった。 珠世はその手法を見つける為に、禰豆子の血を調べる事と、無惨の血が濃い鬼から血液を採取する事を炭治郎に頼み、炭治郎はそれを了承した。 その時、無惨が差し向けた朱紗丸と矢琶羽という鬼が現れた。 炭治郎は矢琶羽と、禰豆子と珠世たちは朱紗丸と戦うことになった。 矢琶羽は矢印の血鬼術を使った。 矢琶羽が作り出す矢印に触れた物体は、矢印が示す方向に引っ張られた。 炭治郎はその矢印が見えておらず、壁や地面に打ち付けられた。 しかし、愈史郎の助力によりその矢印を視認することができるようになり、炭治郎は矢琶羽を倒した。 朱紗丸は珠世の血鬼術により無惨の名前を喋らされ、死亡した(無惨の血には呪いがあり無惨の名前や情報を話すと死に至る)。 鬼に居場所が割れたことにより、危険を感じた珠世たちは浅草を離れることになった。 珠世は禰豆子を預かることを提案したが、炭治郎は禰豆子と離れることはしなかった。 善逸との再会 炭治郎は任務地に行く途中、女性にすがりつく男を発見する。 炭治郎は嫌がる女性を見て男を止めた。 男は炭治郎の事を知っているようだったが、炭治郎は全く身に覚えがなかった。 その男は我妻善逸といい、炭治郎と同期の鬼殺隊の剣士だった。 炭治郎は最終選別試験の時に会っていたが、全く覚えていなかった。 善逸は臆病で女好きな性格をしていた。 善逸が任務に行く途中に恐怖からうずくまって泣いていると、それを心配した女性が善逸に声をかけた。 すると善逸は女性が自身に気があると思い込み、求婚していたのだ。 善逸は、自身を止めた炭治郎に「お前責任とれよ!お前のせいで結婚できなかったんだから!」と恨み言を言った。 それを聞いた炭治郎は軽蔑したような目で善逸を見た。 そして炭治郎は善逸と一緒に任務へ向かった。 向かった先には一件の屋敷があった。 屋敷の外には正一とてる子という兄妹がいた。 炭治郎が二人に話を聞くと、兄がこの屋敷に住まう鬼に攫われたとの事だった。 炭治郎は禰󠄀豆子が入った箱を正一とてる子の元へ残し、善逸と一緒に屋敷の中に入って行った。 しかし、禰󠄀豆子が箱の中に微かに動いていることに恐れた正一とてる子が屋敷に入ってくる。 炭治郎は兄妹を外に出そうとするが、突然部屋が切り替わり、善逸と正一とはぐれた。 炭治郎が突然の自体に驚いていると、そこに響凱という名の鬼が現れる。 響凱は無惨直属の配下の鬼である十二鬼月の元メンバーだった。 響凱は人間を喰えずにこれ以上強くなれず、無惨から十二鬼月から外されていた。 その為『稀血(人間50人分にも値する稀少な血を持つ人間)』の人間を喰って十二鬼月に返り咲こうとしていた。 正一とてる子の兄は稀血だった。 しかし、響凱の屋敷に他の鬼もやって来てしまい、稀血を求めて争いが起きた。 その時に正一たちの兄は響凱の身体から生えている鼓の一つを手に入れた。 その鼓を叩くと屋敷の部屋を入れ替える事ができた。 炭治郎が突然違う部屋へ移動したのは正一たちの兄が鼓を叩いたからだった。 突如現れた伊之助 響凱は身体から生えている鼓を叩くと、部屋を回転させたり、斬撃を発生させたりする血鬼術を使用する事ができた。 炭治郎はぐるぐると回る部屋の中で響凱と戦っていた。 すると突然、猪の被り物を身に付けた男が乱入してきた。 その男は二本の日輪刀を持っていた。 炭治郎は鬼殺隊の仲間かと思ったが、その男はてる子を容赦なく踏みつけにした。 それに怒った炭治郎が男を投げつけると、その男は嬉しそうに炭治郎に斬りかかってきた。 その後、炭治郎は響凱に加えて猪の被り物をつけた男と戦った。 しかし、その途中で再び部屋が切り替わった。 炭治郎は屋敷を捜索して正一たちの兄を見つけ出した。 そこに響凱がやって来るが、炭治郎は部屋を切り替えさせててる子とその兄を逃した。 そして響凱と戦闘を始める。 炭治郎はここに来る前の銭湯により負傷しており、動きが鈍かった。 回転する部屋に加え、高速で放たれる斬撃に炭治郎の身体は悲鳴をあげていた。 しかし、炭治郎は戦いの中で痛みが少ない動き方を見つけ、響凱を倒した。 炭治郎が痛みが少ない動き方を見つけたのは、小説の原稿を踏まないように避けたことがきっかけだった。 その小説は、鬼になる前の響凱が書いた物だった。 響凱は自身が書いた小説を馬鹿にされ、鬼となってその者を殺害していた。 響凱は消える前に「小生の…血鬼術は…凄いか…。 」と炭治郎に聞いた。 それに対し、炭治郎は「凄かった。 でも、人を殺したことは許さない。 」と答えた。 響凱は「…そうか。 」と言って消えていった。 屋敷の外に出た炭治郎は、屋敷で会った猪の被り物をした男が、禰󠄀豆子の入った箱を守る善逸を殴りつけるのを目にした。 猪の被り物をつけた男は嘴平伊之助という名の鬼殺隊の隊士であった。 伊之助は箱の中から鬼の気配を感じ取り、禰󠄀豆子を殺害しようとしていた。 善逸は箱の中身が鬼だと知りながら、炭治郎が大切な物と言っていた事から箱を守っていた。 炭治郎は怒り心頭となり伊之助と戦いを始める。 そして炭治郎は伊之助の肋を折り、頭突きにより失神させた。 その後、炭治郎は善逸、伊之助と一緒に傷を癒した。 そして行動を共にするようになる。 操られる鬼殺隊の隊士たち 炭治郎は指令により善逸、伊之助と共に那田蜘蛛山へと向かう。 那田蜘蛛山へ着くと一人の鬼殺隊の隊員が助けを求めていた。 炭治郎たちは即座に駆け寄るが、その者は何かに引き寄せられるように山の中に消えていった。 炭治郎は怯える善逸をおいて伊之助と一緒に山に入った(善逸は炭治郎が禰󠄀豆子を連れていった事に気付いて後から山に入った)。 那田蜘蛛山には下弦の陸である累がいた。 累は家族の絆に飢えた鬼で鬼たちと擬似的な家族関係を築いていた。 山の中には多くの鬼殺隊の隊員がいた。 しかし、それらの隊員は『母』の鬼が使う糸により操られていた。 隊員たちは自身を殺すように言い、伊之助はその通りにしようとした。 しかし、炭治郎はそれを止め、木の上に投げて糸を絡ませる事で隊員たちが行動できないようにした。 しかし、それを知った『母』の鬼は隊員たちの首を追って殺害した。 炭治郎はそれに対し怒りの表情を見せた。 伊之助の並外れた触覚で『母』の鬼を探し当て、炭治郎は『母』の鬼の頸に迫った。 その時、『母』の鬼は炭治郎の方に手を伸ばし、死を受け入れるような素振りを見せた。 『母』の鬼は累からの強制的に顔を変えられ、暴力を振るわれながら『母』を演じさせられていた。 『母』の鬼は死んで累から逃れようとしていた。 『母』の鬼が死を受け入れたのを察した炭治郎は、痛みを与えない『水の呼吸 伍ノ型 干天の慈雨』を使用した。 『母』の鬼は炭治郎の優しい目を見て、人間だった頃の記憶をかすかに思い出した。 そして「十二鬼月がいるわ。 気をつけて…!」と告げて消えていった。 山を進む炭治郎と伊之助の前に『父』の鬼が現れる。 『父』の鬼は凄まじい腕力の持ち主で、さらに皮膚が硬く、日輪刀が通らなかった。 炭治郎は伊之助と力を合わせて戦うが、『父』の鬼は木で炭治郎を殴りつけて吹き飛ばした。 炭治郎は吹き飛ばされながら「俺が戻るまで死ぬな!」と伊之助に叫んだ。 仲間の鬼を傷つける累を見た炭治郎 炭治郎はすぐさま伊之助の元へ戻ろうとするが、そこで二人の鬼を見つける。 それは累と『姉』の鬼だった。 累は『姉』の鬼を傷つけていた。 それを見た炭治郎が「何してるんだ…!仲間じゃないのか!」と言うと累は「仲間?そんな薄っぺらなものと同じにするな。 僕たちは家族だ。 強い絆で結ばれているんだ。 」と話した。 それに対し、炭治郎は「家族も仲間も強い絆で結ばれていればどちらも同じように尊い。 血のつながりがなければ薄っぺらだなんてそんなことはない!それから強い絆で結ばれている者は信頼の匂いがする!だけど、お前たちからは恐怖と、憎しみと、嫌悪の匂いしかしない!こんなものを絆とは言わない!紛い物…偽物だ!」と告げた。 累は憤怒の表情で「お前いま何て言ったの?」と炭治郎に聞いた。 炭治郎は凄まじいプレッシャーを感じながらも「何度でも言ってやる。 お前の絆は偽物だ!」と告げた。 その後、炭治郎は累と戦い始める。 炭治郎は累が使う糸を断ち切ろうとするが、累の糸は凄まじい硬度で、逆に炭治郎の日輪刀が折れてしまう。 そして炭治郎は累に成す術がなく累の糸に取り囲まれてしまう。 その時、禰󠄀豆子が累の糸から炭治郎を庇った。 それ見た累は「妹は兄を庇った…。 身を挺して…。 本物の絆だ!欲しい…!」と言って打ち震えた。 そして累は「坊や。 話をしよう。 僕はね、感動したんだよ。 君たちの"絆"を見て。 体が震えた。 この感動を表す言葉はきっとこの世にないと思う。 でも君たちは僕に殺されるしかない。 悲しいよね。 そんなことになったら。 だけど回避する方法が一つだけある。 君の妹を僕に頂戴。 大人しく渡せば命だけは助けてあげる。 」と炭治郎に話した。 しかし炭治郎がそれを了承するはずもなかった。 累は十二鬼月の証である目を見せ、炭治郎を殺して禰󠄀豆子を奪うと宣言した。 父の『ヒノカミ神楽』を見ている炭治郎 累は一瞬のうちに糸で炭治郎から禰󠄀豆子を奪った。 炭治郎は禰󠄀豆子を取り戻すために立ち向かい、『水の呼吸 拾ノ型 生生流転』を繰り出した。 『生生流転』は回転しながら剣を振るう技であり、回転する毎に威力が増した。 その技で炭治郎は累の糸を断ち切ることができた。 しかし累は「ねぇ。 糸の強度はこれが限界だと思ってるの?」と言い、糸に血を纏わせてさらに硬度をあげた。 そして炭治郎を糸で取り囲んだ。 炭治郎はこれまでと違う糸の匂いから、自身では糸を斬れないことを悟った。 その時、炭治郎は走馬灯を見た。 炭治郎は「炭治郎、呼吸だ。 息を整えてヒノカミ様になりきるんだ。 」と話す父親・炭十郎の事を思い出していた。 炭治郎の家では、年の始めに『ヒノカミ神楽』という舞を神様に捧げるのが習わしだった。 幼き頃の炭治郎は「倒産は体が弱いのにどうしてあんな雪の中で長い間舞を舞えるの?俺は肺が凍りそうだよ。 」と炭十郎に尋ねた。 炭十郎は「息の仕方があるんだよ。 どれだけ動いても疲れない息の仕方。 正しい呼吸ができるようになれば炭治郎もずっと舞えるよ。 寒さなんて平気になる。 」と話した。 炭十郎は「炭治郎、この神楽と耳飾りだけは必ず途切れさせず継承していってくれ。 約束なんだ。 」と炭治郎に伝えた。 炭治郎は『ヒノカミ神楽』を使って累の糸を斬った 炭治郎は『水の呼吸』から『ヒノカミ神楽』へと切り替え、累の糸を斬った。 しかし、炭治郎は『水の呼吸』から『ヒノカミ神楽』に無理に切り替えた反動で、もうすぐ体が動けなくなることを察していた。 炭治郎は刺し違えても累を倒そうとした。 その時、累に出血させられて気絶していた禰󠄀豆子が目を覚まし、血鬼術『爆血』を使用し、累の糸を焼き切った。 そしてその隙に炭治郎は累の頸に日輪刀を振るう。 炭治郎の一撃では累の頸を斬れなかったが、日輪刀についていた禰󠄀豆子の血が爆発し、日輪刀が加速した。 そうして累の頸は落とされた。 炭治郎は『ヒノカミ神楽』を使った反動で動けなくなっていた。 必死に禰󠄀豆子の元へ炭治郎が這い寄っていると、背後から累の匂いがした。 累は炭治郎に頸を斬られる寸前で、自ら頸を切り離しており、死んでいなかった。 累は動くことができない炭治郎と禰󠄀豆子を殺害しようとした。 その時、冨岡義勇が応援に駆けつけた。 義勇は累の糸を難なく斬り捨て、頸を落とした。 累の身体から悲しみの匂いを感じ取った炭治郎 累は消える寸前にかつての記憶を思い出した。 鬼になる前、累は走ることができないほどに病弱だった。 そんな累の元に無惨が現れ、累は鬼になることで強い身体を手にいれた。 だが両親はそれを喜ぶ事なく、人を喰らう鬼となった累を殺そうとした。 累は自身の家族の絆が偽物だと思い、両親を殺害した。 しかし、それは誤りだった。 母親は命を落とす寸前「丈夫な体に産んであげられなくて…ごめんね…。 」と言っていた。 父親はただ累を殺そうとしていたのではなく、累の罪を背負って一緒に死のうとしていた。 家族の絆を断ち切ったのは累だった。 累はその事を忘れていて、ずっと家族の絆を求めていた。 累は消える寸前に炭治郎と禰󠄀豆子に手を伸ばした。 炭治郎は累の身体から抱えきれないほどの大きな悲しみの匂いがすることに気づいた。 そいて炭治郎は消えゆく累の身体に手を添えた。 累は「暖かい。 日の光のような優しいて。 思い出した。 はっきりと。 僕は謝りたかった。 ごめんなさい。 全部全部僕が悪かったんだ。 どうか許してほしい。 でも…山ほど人を殺した僕は…地獄に行くよね…。 父さんと母さんと…同じところへは…行けないよね…。 」と言った。 その時、累は両親の姿を見た。 両親は「一緒に行くよ。 地獄でも。 父さんと母さんは累と同じところに行くよ。 」と話した。 累は涙を流しながら「全部僕が悪かったよう!ごめんなさい!」と泣いて謝った。 そうして累は消えていった。 鬼を憐れむ炭治郎 義勇は累が来ていた着物を踏みにじり「人を喰った鬼に情けをかけるな。 子供の姿をしていても関係ない。 何十年何百年生きている醜い化け物だ。 」と話した。 それを聞いた炭治郎は「殺された人たちの無念を晴らすため、これ以上被害者を出さないため…勿論俺は容赦なく鬼の頸に刃を振るいます。 だけど、鬼であることに苦しみ、自らの行いを悔いている者を踏みつけにはしない。 鬼は人間だったんだから。 俺と同じ人間だったんだから。 足をどけてください。 醜い化け物なんかじゃない。 鬼は虚しい生き物だ。 悲しい生き物だ。 」と話した。 その時、蟲柱の胡蝶しのぶが現れて禰󠄀豆子に斬りかかるが、義勇がそれを防いだ。 炭治郎は義勇の命令で禰󠄀豆子を担いで逃亡した。 しかし、炭治郎と同期の剣士である栗花落カナヲが現れ、炭治郎は気絶させられる。 カナヲは禰󠄀豆子を殺害しようとするが、その途中に炭治郎と禰󠄀豆子を殺さずに拘束するように伝令が入った。 炭治郎と禰󠄀豆子は拘束されて本部へ連れ帰られた。

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もし炭治郎が、日の呼吸の適性が最適最強だったら その7

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その日、柱の者達に鎹鴉から衝撃の情報が伝えられた。 それを討伐しただけでも凄いが、まさかの序列が弐。 つまり鬼舞辻無惨を除いて、鬼の中で2番目に強い鬼ということだ。 混乱を防ぐために、柱につか伝えられていない情報。 もちろんそれほどの鬼を討伐したというのは、とても喜ばしい。 だが……。 「誰が、討伐したのだ?」 見回りを終えて家に帰る途中、煉獄杏寿郎は一人で呟いた。 上弦の弐という強者を、誰が討伐したのか。 それが情報として回ってこない。 前にお館様が、 『上弦は下弦とは強さの格が違う。 おそらく、柱が2人か3人ほどいて、互角に戦えるぐらい』 と言っていた。 今までも柱が何人か、上弦に殺されていた。 下弦を簡単に殺す柱が、上弦を殺すことはここ100年出来なかったのだ。 だからこそ、上弦の強さは格が違うと知っていた。 「怪我人は出たのか?」 報告をしに来た鎹鴉に、杏寿郎はそう問いかけた。 「カァー! 花柱、負傷! 命ニ別状ナシ!」 「そうか! 死んでいないなら良かった!」 花柱、胡蝶カナエ。 女性ながら柱になっている実力者。 つまり、胡蝶カナエと柱の誰かもう1人、それか2人が協力して倒したということ。 「しかし、そうなると胡蝶カナエだけが負傷したのはわからんな……怪我人は他にいないのか?」 「カァー! イナイ!」 いくら柱が2人や3人いたとしても、胡蝶カナエだけが傷を負って他2人は無傷ということは不思議である。 「よもや……こう考えても答えは出ない! 明日の柱合会議で聞けばいいか!」 1人でそう納得して、明日の柱合会議に臨む杏寿郎だった。 雲一つない快晴で、柱の皆が集まっていた。 しかしその中に、1人いなくて、1人柱ではない者がいた。 「胡蝶カナエの妹、胡蝶しのぶ!」 「なんか言い方が変ですが、はい。 何か用でしょうか、煉獄さん」 杏寿郎の呼び方に眉を顰めるしのぶ。 姉のいつも笑顔な表情とは似つかないが、それでも顔立ちはとても似ている。 「胡蝶カナエは大丈夫か? 怪我をしたと聞いたが」 「はい、大丈夫です。 特に後遺症も残らず、数日後には復帰出来るはずです」 「よもや! それは良かった!」 上弦の弐と戦い、それぐらいの怪我で済んだのであれば結構なことである。 「胡蝶しのぶが、姉と一緒に上弦の弐と戦ったのか?」 「いいえ、違います」 「ふむ、では誰だ?」 集まっている柱の者を見るが、誰も怪我はしていないようだ。 不死川実弥は少し怪我の跡が増えているが、いつも通りである。 「俺は悲鳴嶼さんが上弦と対峙したと思っていたが、違うのだろうか!?」 柱の中でも一番の実力者である、岩柱・悲鳴嶼行冥。 体格が一際大きく、手に数珠を持って鳴らしながら、涙を流す。 「ああ……私ではない。 私も、昨夜聞いただけだ」 「そうか! では誰がやったのだ!?」 そう言って杏寿郎は柱の皆を見回すが、誰も自分ではないと言うように他の者を見る。 「ふむ……一体、誰が上弦の弐を討伐したのだ?」 その言葉を杏寿郎が言うと同時に、幼い声が産屋敷家の庭に響く。 「おはよう、みんな。 今日はよく来たね」 静かな、優しい声。 お館様の声を聞くだけで、柱の皆は心に暖かい何かが生まれるのを感じる。 「お館様におかれましても、御壮健で何よりです。 ますますの御多幸を、切にお祈り申し上げます」 「ありがとう、杏寿郎」 煉獄杏寿郎がそう言い、お館様が今日の一番大きな議題を切り出す。 「まず、みんなには昨日、上弦の弐を討伐したという情報が入ったはずだ。 聞いてるね?」 「もちろんです! 大変喜ばしいことですが、誰が討伐したかは聞いておりません! 花柱の胡蝶カナエが怪我をしたようですが、上弦の弐と戦闘したということでしょうか!?」 「その通りだよ。 話を聞く限り、カナエは上弦の弐と遭遇し、数分で致命傷を負い、死にそうになったと」 「よもや!!」 柱である者でさえ、一人対峙したらものの数分でやられてしまうのか。 上弦の強さを改めて知り、皆が舌を巻く。 「では、上弦の弐は誰が倒したのでしょうか!?」 「そうだね。 これから、みんなに紹介するつもりだよ」 「よもや! 1人で討伐したのでしょうか!?」 「うん。 とっても強い子なんだ」 まさか上弦の弐を1人で討伐出来るような強者が、柱以外にも鬼殺隊にもいたのか。 最近の隊士の質が良くない、と言われていたが、改めなければならないかもしれない。 「その者はどこに!?」 「今から呼ぶよ。 だけど、その前に……みんな、私と約束してほしい」 いつもの優しい、仏のような笑みを浮かべたお館様が、言葉を紡ぐ。 「その子は、とても優しい子で……とても強い子なんだ。 だからどうか、みんなに認めて欲しいと思っている」 「お館様、一体どういう……?」 お館様は最後に「よろしくね」と念押しをするかのように言って、 「炭治郎、入っておいで」 と、後ろの襖の方に声をかけた。 柱のほとんどが目を見開き、即座に臨戦体勢に即座に入った。 襖の奥にいたのは、鬼の少年であった。 いや、姿形は少年だが、実際は何十年、何百年生きているのかわからないのが、鬼である。 すぐさま攻撃を仕掛けようとしたのは、風柱である不死川実弥。 続いて蛇柱の伊黒小芭内。 常に全集中の呼吸を使っている2人だが、さらに呼吸を深め技を繰り出そうとするが……。 「落ち着いて」 お館様が立ち上がり、口元に指を当てる仕草をしたことにより身体が強制的に止まった。 それもそのはず、お館様がその鬼を後ろに庇うように立ち上がったからだ。 「お館様! そいつは鬼ですっ! 危険なので離れてください!」 柱が集まっていたにも関わらず、姿を表すまで鬼がいることに誰も気づかなかった。 なんたる不覚か。 不死川の言葉に、お館様は笑みを浮かべたまま首を横に振る。 「実弥、小芭内、落ち着いて。 この子が鬼ってことは、すでに知ってるよ」 「ならば何故っ!?」 「さっきも言ったけど……この子が、炭治郎が、上弦の弐を倒したんだ」 お館様のその言葉に、先程の鬼が襖の奥から現れた時よりも、柱全員に大きな衝撃が走る。 「なっ!? 鬼が、鬼を倒した……!?」 「しのぶ、そうだね」 「……はい、そうです」 お館様がしのぶに話を振ると、柱全員がしのぶの方を見る。 そして、しのぶがその時のことを、姉のカナエに聞いた話も交えながら説明した。 柱である姉さん、胡蝶カナエが手も足も出ずにやられたということ。 敵は氷を操る鬼だったようで、全集中の呼吸を使う鬼殺隊とは相性が最悪。 トドメを刺される寸前、鬼である炭治郎がやってきた。 ただの拳で上弦の弐を退かせ、カナエが使っていた日輪刀を拾い。 「上弦の弐に対して、圧倒的な強さで、何もさせずに倒しておりました」 なんとも、信じがたいことであった。 鬼が人を守る、ということですら信じられないのに。 上弦の弐を何もさせずに倒すなど、あり得るのだろうか? 「信用しない、信用しない。 鬼が人を守る? 胡蝶しのぶが鬼の血鬼術をかけられている、と言われた方がまだ信じられる」 「っ! 私はかけられていませんよ」 蛇柱の伊黒の言い分に、しのぶは少しイラつきながらも答える。 「自分だったら気づかないのは当然であろう。 それに例えその鬼が上弦の弐を倒したのであれば、それだけその鬼が人を喰らい、強くなったということだ。 それを拘束もせずにしている様に俺は頭痛がしてくるのだが」 確かに、伊黒の言う通りである。 上弦の弐を倒すほどの力を持っているということは、上弦の弐以上に人を殺し、喰らったということに他ならない。 例え人を守ったとしても、それは覆らない事実である……はずであった。 「炭治郎はね、人を喰っていないんだ」 またもお館様が、驚きの事実を告げた。 「よもや! お館様、それは本当ですか!?」 「そもそも炭治郎が鬼になったのは、数日前のこと。 なった初日、義勇が炭治郎と遭遇した。 その時にはすでに、人間としての理性があったみたいだね」 「……はい、そうです」 炭治郎が現れた時に唯一、柱の中で動じなかった義勇。 さすがに上弦の弐の討伐には、目を見開いたが。 「炭治郎は家族と暮らしているが、鬼になってからも誰も喰べていない。 それは義勇と、それにカナエも確認している。 今日までも鎹鴉でずっと監視していたが、人を喰う素振りすらなかった。 炭治郎は、人を喰わないんだよ」 お館様から説明を受けても、未だ信じられない。 鬼が人を喰わないなんて、柱だからこそ簡単には信じられないのだ。 数え切れないほど鬼を殺してきた柱は、鬼がどれだけ狡猾で、意地汚く、最低な生き物かを知っているから。 「信じられません、お館様……! 俺が、その鬼の化けの皮を剥いでやりますよォ!」 不死川が血走る目をそのままに、刀を抜いて自分の腕を斬りつける。 (えっ、えっ……何してるの? お庭が汚れるじゃない……!) その様を見て並んでいる柱の中で、そんなことを心の中で思っていた恋する柱がいたとかいないとか。 普通の人の数倍、数十倍は濃い血を持っており、稀血を食べるだけで何十人も人を喰ったことになる。 風柱・不死川実弥の身体に流れる血は、稀血の中でも特別。 鬼がその血の匂いを嗅ぐだけでも、酩酊するほど濃いものである。 どんな鬼でもその血を欲し、動きが単調になり本能的になる。 この稀血の特性を生かして、不死川は鬼を狩ってきた。 「不死川、お前が日向にいてはあの鬼は襲ってこない。 日陰に行かなくては」 「……お館様、失礼仕る」 伊黒の助言を聞き、不死川は一飛びで屋敷の中に入り……炭治郎の目の前に降り立つ。 「おら、喰いついてこい鬼ィ! お前の大好きな人間の血だァ!」 「……」 鬼の気配が薄かったが、やはり目の前にすると鬼の特徴を持っている、少年の鬼。 こんな鬼が、上弦の鬼を倒す? やはり信用ならない。 不死川は猟奇的な笑みを浮かべながら、刀をその頸に穿つように準備をしていた。 (少しでも襲う素振りを見せれば、殺してやる……!) そう思っていたの、だが……。 「……あァ?」 不死川は、疑問の声を上げた。 突如目の前で、自分が想像していたこととは違うことが起こったからだ。 瞳孔は鬼のように縦に開かれていたが、それでもその眼差しは人間のように、いや、人間以上の輝きを持っていた。 それに気づいたのは、柱の中では自分だけだろうか。 (よもや……柱ではないが、胡蝶しのぶはすでに気づいているようだな) 姉である胡蝶カナエを目の前で助けてもらったと言っていたので、当然のことであろう。 あれほど美しく輝きある瞳を、自分は他に知らない。 あとは……岩柱の悲鳴嶼行冥や、音柱の宇髄天元も気づいていてもおかしくはない。 冷静にあの者を見れば、普通の鬼とは全てがかけ離れているということを。 逆に、風柱の不死川や蛇柱の伊黒は、あの者に殺意を覚えすぎているから、わからないだろう。 2人があれほど殺意を持っているから、自分がこうして冷静でいられるというのもあるだろうが。 何を思って生きていれば、あれほど熱く輝く瞳を持てるのだろうか。 煉獄杏寿郎はそんなことを思いながら、ずっと少年の鬼……炭治郎の瞳を見つめていた。 次の話はこちらです。

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